この本の概要
タイトル | 八月の御所グランド |
著者 | 万城目 学 |
出版社 | 文藝春秋 |
出版日 | 2023/8/3 |
京都を舞台に謎の草野球大会で大事な何かをかけて戦う若者たち。
真夏の京都と聞くだけで、地獄のような蒸し暑さを想像できて、そんな暑さの中で野球をする必要ある??
と思いながらも勝利の行方や徐々に明らかにされていく真相に夢中になりました。
真夏なのに、どこかしっとりした気分を味わえる作品です。
第170回の直木賞受賞作。
(直木賞選考委員の選評)
「エンターテインメントの一種の理想型で特別なことを書いているとか、奇をてらっている訳ではなく、普通のことを書いて感動がある小説を書くということは非常にすごいことだという意見が出されました。日常の中に非日常がふわっと入り込んでくる絶妙さとバランスの良さがすばらしく、ベテランの強みを見せる絶妙な文章だと高く評価されました」
NHK NEWS
どんな人にオススメ?
- 直木賞が好きなひと
- 万城目学さんの世界観が好きなひと
- 受賞作品と聞いて、読んでみようかなと思ったひと
- 「鴨川ホルモー」、「鹿男あをによし」が好きなひと
次に読む本を探している方で、受賞作品を中心に探している方は是非読んでみてください。
私は万城目ワールドが好きなので、読むのを楽しみにしていました。
この本の所感
第170回 直木賞 「八月の御所グランド」(万城目学)
まずは、直木賞受賞、本当におめでとうございます。
万城目学さんが好きな方も嬉しかったのではないでしょうか?
直木賞が好きな私は、ここに万城目学さんの名前が載ったことがすごく嬉しいです。
いざ、ハードカバーを手に取ってみると
金色を施した帯に高揚感が湧きました。
作品の舞台が京都とあって、上品さを醸し出していますね。
表の帯表紙には
「死んだはずの伝説の名投手」というキーワード
この本については作家本人が出演するテレビ番組のインタビューをチェックしていたので
野球の話で、実在しない人が出てくるんだろうな~と心の中で準備していました。
本を読んでみると
まさか、名前を聞いたことがある、あの投手とは想像できませんでした。
本を読んだ後に帯の裏表紙を見てみると
「謎の草野球大会」と書いてあるのを後から見つけて、
なるほどね!と思わせてもらいました。
ネタバレしない程度の感想でとどめておきます。

期待してしまう不思議感
思わず、本屋で「万城目学」を見つけると手に取ってしまう。
なぜだろう。。。(と、語れるほど深く考えているわけではないのですが)
私がこの作家の好きなところは不思議感を味わえるからだと思います。
一瞬、自分が小説から取り残される感じのストーリー展開に加えて、
ところどころに出てくる印象的なフレーズやキーワードが
独特のユーモアを感じ、たまにツボにハマって抜け出せません。
八月の御所グランドは
不思議な感じはあるが、どこかしっとりとした感じも楽しませてもらいました。
本を読み終えた時、「あれはあの後、どうなったのだろう」と本には語られていない部分(自分が気づいてないだけかもしれませんが)があり、
どこか、まだストーリーを楽しみたい、続きが気になる、終わりに近づいてきてるけど終わって欲しくない、という
わびさび感が残りました。

京都を舞台にした2編構成
ハードカバーには
謎の草野球の話に加えて、女子高生の全国駅伝大会のストーリーの2編で構成されていました。どちらも舞台は京都で、京都の街並みや歴史を想像に取り込める本でした。
全体のページも200ページ程度で
前半の駅伝の話が60ページほど、残りが八月の御所グランドで
読みやすい本でした。
気になる方は是非、読んでみてください。
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