目次
この本の概要
タイトル | 蜜蜂と遠雷 |
著者 | 恩田 陸 |
出版社 | 幻冬舎 |
出版日 | 2019/9/23 |
国際ピアノコンクールを舞台にした若きピアニスト達を描いた作品です。
本作は第156回直木賞と第14回本屋大賞のダブル受賞。
長編の内容でピアニストがコンクールと向き合っている姿を丁寧に楽しめます。
どんな人にオススメ?
- ピアノが好きな人
- 音楽に興味がある人
- 分厚い本を読むのが好きな人
- 何かにチャレンジしようと思っている人
- 心を清らかにしたいと思っているひと
本作はピアノコンクールを舞台にした作品だけあって、音楽好きの人には
音のイメージを一緒に深く楽しめると思います。
私はピアノを弾けないし、そこまで曲に詳しくはありませんが、
コンクールにかける若者の奮闘からキラキラしたものを感じました。
この本の所感
ピアノのコンクールを描いた物語
恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」について紹介します。
タイトルだけ聞くとあまり想像できないかもしれません。
この本を一言で言うと
「ピアノのコンクールに挑む若者たちのストーリー」
私自身はピアノを弾けないので、私に読めるかな?とも思いましたが
その先入観はまったくの杞憂に終わりました。

本作はピアノのコンクールを舞台に各国の予選から本大会の結末までを描いた物語。
主な登場人物は「マサル」、「栄伝亜夜」、「風間塵」、「高島明石」
4人のピアニストのそれぞれの背景や個性、現在の環境から
コンクールというチャレンジングな舞台を前に、自分の内面(葛藤、不安、大切にしていること、など)と向き合い、ピアノ演奏で自分の魅力を発揮している情景をイメージし、
家族や友人になったつもりで応援してしまう作品でした。
ピアニストの魅力、個性がそれぞれにあり、背景を知ることで奥深さを感じられ、
文学と音楽の芸術を一緒に堪能できる作品です。
一気読み。本から音楽の世界観を堪能する。
この本を読んだのはハードカバーが発売されていた2018年でした。
いきつけのBarで話題になっていた本で
大人のピアノ教室に通っていた男性(友人)が読んだ本が
Barのマスターに渡り、「この本はボリュームがあるけど一気読みできる!」
と私に薦めてくれたので、本を借りて読みました。
まさしく、barのマスターが言うように一気読みでした。
私はあまり音楽に造詣が無いので、音楽を題材にした本を読むときは、
どんな音楽かをYouTubeなどで聴いてから読むようにしています。
頭の中で音楽を流しながら、本のシーンを読んでいると、「なるほどね。こんな感じの描写だったのか」と思えるのが好きです。
本と音楽を立体的な感覚で楽しめるのが、音楽を題材にした小説の醍醐味だと思っています。
「音を外へ連れ出す」まさにそれが伝わる作品

私は「ドビュッシー:喜びの島」、「ショパン:バラード第2番」
と言われて、すぐに曲が思い浮かばないほどのピアノ素人。
コンクール(コンテスト)はピアノを間違えずに弾いて、上手に弾ける人から順位が決まるものだと思っていました。
この本で初めて知ったのは、世界で活躍するピアニストは
上手く弾けるのは当たり前で、
それぞれの個性があり、表現や特徴があることを初めてしりました。
この本を読む前の年に、ジャズの生演奏をたくさん聴ける機会があり、音楽って良いな。
特に、ピアノの音色って、リラックスできるなと感じたことを思い出しました。
曲の最初から終わりまでをピアノ演奏の旅で楽しむ
本作のコンクール決勝では、ピアニストが演奏するシーンでは
流れるような風景やホール全体をどこか自然を感じられる所へ連れていってくれる
描き方が好きです。
この感覚が心地よくて、一気読みしてしまいました。
ピアノの音色がおりなす世界観と曲のストーリーから
曲の最初から終わりまでの旅する楽しみ方を教えてもらいました。
ピアノは鍵盤を弾いた時に出るひとつひとつの音を聴くのではなく、
メロディとその表現を楽しむものなのですね!(当たり前のことを言っているかもしれません。)
本を読みながら、文字が躍動していく感じがして、その迫力を感じたのは初めての感覚でした。この本の世界に惹きこまれ、清らかな気分を味わえました。
この作品は私が好きな直木賞の受賞作品です。
2017年の第156回の直木賞。そしてなんと第14回の本屋大賞のダブル受賞だったのですね!2019年には映画化もされましたね。
是非、読んでみてください。
私の子供は4歳からピアノを習い始めて、毎日、ピアノを練習する姿を見ています。
この作品の良さが伝わる年齢ではありませんが、
今は上手に弾けるだけでなく楽しんで欲しいなと思いました。