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日本の未来は曖昧さに不安を感じる不眠の世界なのか?確かにそうかも「天使も怪物も眠る夜」

日本の未来は曖昧さに不安を感じる不眠の世界なのか?確かにそうかも「天使も怪物も眠る夜」

現代のストレス社会を続けたら・・・

日本は不眠が蔓延した未来になっているかも??

未来都市で山族と海族はいったいどんな対立をおこすのか?

螺旋プロジェクトとしても未来の展開が楽しめる作品です。

夢なのか半分寝ているのか、そんなときに見ているような世界が楽しめる本でした。

この本の概要

タイトル天使も怪物も眠る夜
著者吉田 篤弘
出版社中央公論新社
出版日2022/11/22

人気8作家による競作企画・螺旋プロジェクトの一冊で未来の世界が舞台。
螺旋プロジェクトで共通に出てくる壁で東西が分断された対立構造の東京。
曖昧な不安から不眠が蔓延し、睡眠ビジネスが流行る都市。
主人公のシュウと眠りの美女。他にもたくさんの登場人物が織りなす
複雑に絡み合いそうなストーリー。
最後に一気につながっていく展開に読み応え抜群の一冊でした。

どんな人にオススメ?

  • 伏線回収型:盤に向けて物語が一気に集約されていく展開が好きな人
  • 未来探索型:歴史や現実もいいけど、独特な未来設定に興味がある人
  • 多視点体験型:登場人物ごとに視点が変わる描き方が好きな人
  • 螺旋プロジェクト制覇型:他の作品と共通テーマを持つプロジェクト作品を制覇したい人

『天使も怪物も眠る夜』は、
未来社会を舞台に、不眠が蔓延する東京で織りなされる物語。
章ごとに登場人物の視点が変わる構成で、最初はバラバラに見えるピースが、最後には一つに集約される伏線回収の快感でした。
螺旋プロジェクトの一冊として、他の作品と共通する「山族と海族の対立」というテーマも楽しめます。
未来の設定ながらも、SFだけでない、人間らしいドラマが楽しめる独特な読書体験ができました。

所感

今回の螺旋は未来へワープ

螺旋プロジェクトを制覇したいという意気込みから
8作中3作を読み終えました。
どの作品も読みごたえ十分で充実した読書タイムを満喫しています。
4作目は何を読もうか。

螺旋プロジェクトでは共通のテーマで違う時代を扱っているため、
時代を基準に次の本を選ぶことにしました。
読んでない本の時代は「原始」、「古代」、「明治」、「昭和前期」、「未来」

螺旋プロジェクトに限らず、最近の読書傾向から
平安時代、戦国時代、明治・昭和など歴史から教養を深める機会が多かった気がします。
この流れで歴史系を攻めるかと考えたのですが。

とはいえ、最近は歴史にどっぷり浸かりすぎて、
歴史を楽しむにも少しお腹いっぱいな感じがあったので、
思い切って今回は未来へワープすることにしました。

なんか想像できる。未来の世の中は不眠に悩まされている。

未来の舞台となるとイメージするのがSF。
なんか、コンピュータが自動でめっちゃピコピコ動きながら、目の前に仮想モニターが現れたり、しゃべったり。
無機質な乗り物が空を飛んでいたり。
そんなイメージを勝手にしていました。

この本からはそこまでSF感を感じることはありませんでした。

それよりも、
「慢性的な不眠の世の中」になっている将来の設定に不思議なユーモアを感じました。

「今の世の中を生き抜いた将来の人たちは疲れちゃったのかな~」
「眠さに悩みを抱えている人たちが山族と海族に分かれて対立をするといっても
疲れ果てて、可哀そう。」
と余計な詮索をしてみたり。
どんな展開になるかをゆっくり読み進めようと思いました。

慢性的な不眠の世の中でベストセラーになる本は
眠くなってしまうようなつまらない本。
本が子守歌的な役割なのですね。。。

私もこの本を読むときは眠くなってしまうようなBGMをかけて、
途中でうたた寝を挟みながら読んでみました。

最初は全体像がつかめず、登場人物も多かったため
眠さの演出効果なのか不思議な感覚で、ストーリーに身を任せている感じでした。

徐々にピースが繋がっていく感じで、最後までの展開を楽しく読めました。

ゴールデンスランバー

個人的に嬉しかったのが
物語の鍵を握りそうな言葉に
「ゴールデンスランバー」というキーワードが出てきたこと。

私のゴールデンスランバーと言えば
今まで出会った本の中で一番好きな本
螺旋プロジェクトの発起人でもある井坂幸太郎さんの作品「ゴールデンスランバー」

もともとは
ビートルズの曲「Golden Slumbers」
アルバム『アビイ・ロード』に収録された曲のタイトル。
子守唄のような優しい言葉が特徴で、
曲全体に穏やかでノスタルジックな雰囲気のある曲。

不眠の世界に子守歌。
まさにこの本の世界にマッチしたキーワードだと思いました。

最後に。眠りの先にあるもの。

不眠の世の中を舞台に
物語に出てくる人物が多くて、章ごとに別々の登場人物の視点で描かれるおり、
最初はおぼろげな全容が見えてこなかったのですが
多視点構造にも慣れてくると、全方向から観察している感覚になり
まるで自分の夢を少し離れてみている体験をしているようになりました。

そして、気になるストーリーは
終盤にかけて一気に集約されていく感じで。

構造もストーリーも不思議な感覚で楽しめました。

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